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2020.10.20

愛新覚羅院長が円錐角膜について解説しました

円錐角膜は角膜が変形する疾患で多くは思春期から発症します。視力の低下や乱視が急速に進むので、早期に発見して適切な治療を受けることがとても重要です。

円錐角膜は、角膜組織が弱くなることで角膜が薄くなって、前方に円錐状に突出する疾患です。10代の思春期や20代の前半頃から発症して40代くらいまで徐々に進行することが多いです。両眼性ですが、発症と進行時期が異なる場合もあり、診療の時期によって片眼のみの場合もあります。患者数は報告によって異なりますが、およそ数千人から数万人に1人とも推測されています。発症の原因はまだはっきりわかっていませんが、角膜の内部のコラーゲン組織の異常などが関与していると考えられています。また、アトピー性皮膚炎を持つ人に発症する頻度が高いことから、目を強くこするなど物理的刺激も一因ではないかとも考えられています。

初期の段階では、視力の低下や、いつもよりまぶしく感じる、ものが二重に見える、光に敏感になるといった症状が見られます。一般的な近視では視力の低下は多くがゆっくりですが、円錐角膜の場合、急激に視力が落ちるという点が特徴です。さらに進行すると乱視も急激に進み、不正乱視が起きてきます。これは眼鏡やコンタクトレンズを使用しても矯正が困難で、よく見えない状態です。患者さんの中には、眼鏡屋さんで眼鏡を新しく作っても全然視力が出ず、何かの病気ではないかと疑って受診する方もおられます。視力が急速に落ちた、眼鏡などでも矯正できないなどといった場合は一度円錐角膜に詳しいクリニックを受診してください。

視力検査、細隙灯顕微鏡検査、角膜形状解析検査を行います。視力検査では裸眼視力と眼鏡などによる矯正視力及び乱視度を測定します。細隙灯顕微鏡検査は、初期の段階では判断が難しい場合が多く、進行するに従って角膜の突出や角膜内のしわや沈殿物などが見られる場合があります。角膜形状解析検査は、目の屈折度と角膜のカーブを測定し、最終的にカラー地図で塗り分けて表示する検査です。細隙灯顕微鏡検査ではわかりにくい初期症状を確認することが図れるので、診査診断に役立ちます。当クリニックでは角膜の後ろ部分のカーブを測定するための機能を備えた検査機器を使用しています。これらの結果から円錐角膜の進行度を診断していきます。

円錐角膜の治療についてですが、初期の円錐角膜では、まだ不正乱視が軽いため、眼鏡やソフトコンタクトレンズの装用によって視力を矯正していきます。進行が進み中程度の円錐角膜になった場合、不正乱視が入ってくるため、眼鏡やソフトコンタクトレンズでは対応しきれなくなるケースがあります。その場合は、ハードコンタクトレンズで対応します。また最近では円錐角膜専用の特殊なコンタクトレンズも開発されていますので、円錐角膜が進行している場合でも視力補正が図れるようになってきています。当クリニックでは、円錐角膜の進行度合いに即して、眼鏡からコンタクトレンズ、特殊レンズまでさまざまな処方を行っています。

また、円錐角膜の進行を認める場合は進行抑制治療である角膜クロスリンキング(本邦では自由診療)が推奨されており、当院でも行われています。

円錐角膜は初期段階での診査・診断がかなり難しい疾患です。細隙灯顕微鏡検査で異常を発見するのは容易ではなく、専門的な角膜形状解析検査が必要となります。私はこれまで円錐角膜の症例を数多く診てきており、治療方法に関しても研究を重ねていますので、より正確な診査、診断、治療をめざしています。大学病院で専用の外来を開設しているところもありますが、忙しいため説明にじっくり時間を取ることが難しい場合も多いです。

当院では、患者さん一人ひとりにわかりやすく説明し、眼鏡やコンタクトレンズなど処方についても丁寧な対応を心がけています。そのような点が患者さんにとってもメリットだといえるでしょう。

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